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サクソフォンのビブラートについて



ビブラートは、サクソフォン吹きにとってなくてはならないと言っても過言ではないほど、大切な表現法のひとつです。

学生で吹奏楽部で何年もやっていくと、顧問の先生から「そこビブラートが欲しいな〜」なんて言われたり、自分でも「ここでビブラートできたらいいよなぁ〜」と思うようになり、

必ず「ビブラートってどうやるの?」という疑問にぶつかります。


ビブラートとは

ビブラートは音の飾り付けの手段であって、「音が揺れている状態」にする表現法とでも、言いましょうか。


何らかの方法で揺らすわけですが、

音を揺らす、を目的にするならば、次のような選択肢が考えられます。


①息の増減

②楽器自体を揺らす

③舌を動かす

④下顎を上顎に対して離れたり近づいたり

⑤下顎を前後で揺らす


他にも手段はあるかもしれませんが。

その中でどれが効率的かといえば、、私は⑤だと思っています。



具体的な方法

①息を吐き続ける意識

リードを振動させるために息を吐き続けることが必要不可欠です。

音を発生させるために必要な息を吐き続けていれば、飾りとなるビブラートがつけやすくなります。


②下の前歯をリードに沿って「前にズラす」⇄「戻す」をする

上に挙げた揺らす方法の中で⑤にあたるものですね。

ポイントは「下の前歯をリードに沿って」です。


一度、普通の状態から前に下顎全体をズラして、ズラしたまま音を鳴らし続けてみましょう。

ズラした状態にすると、リードを振動させるべき部分が通常より広くなります。


ということは、音を鳴らすためには通常よりも息が必要になるでしょう。

このことからも、①の「息を吐き続ける意識」は重要です。


ズラす、戻す、ズラす、戻す、をゆっくり繰り返してみましょう。

今は「この動きを覚える段階」です。


慣れてきたら、動かす範囲を狭めて小刻みにしてみましょう。

息は吐き続ける意識をお忘れなく。


③「上顎も動いて良い」と思いながら吹いてみる


これは、下顎を動かすことに意識が行き過ぎると他が固まりやすくなるため、その解消のためのアイデアです。

万人に共通するものではないかもしれませんが、補足として。



②で「吹きながら下顎を動かす」という動きの練習をすると、身体は覚えてくれるはずで、少し意識するだけで(=下顎を頑張って動かそうとしなくても)自動運転が可能になっていると思います。


ですので、それを踏まえて、次は上顎も動いて良いと思って吹いてみるとどうでしょうか。

(下顎とは違って、上顎は「上下の動き」でしょうか。実際に動くのは別の部分になると思いますが、上顎が口腔と鼻腔の間でそよそよと動いて良いというイメージです。)


最重要なのは

ビブラートをするときに最も大事なのは

「こう歌いたい!」「こんな音楽を表現したい!」という気持ち。

どんな音楽にしたいかが頭にないと、取って付けたようなビブラートでしかなく、

音程も定まらず、聴いていて心地よくないビブラートになってしまうかもしれません。

どんな音楽で、

音でどんなことを表現したいのか。


・どんな色?

・どんな質感?

・どういう感情?

など。


好きなアーティストを思い浮かべるのも有効ですね。

何か、参考になるイメージを頭に浮かべ、上に挙げた具体的な方法を試してみましょう。


ビブラートはどこでかけるか問題

最後に、『ビブラートはどの音符でかけて、どこでかけないのか』という疑問があると思います。


私自身は『どこでビブラートをするか』を具体的にだれかに教わった記憶がありません。。。(教えてもらったのかもしれないけど…)


代わりに、好きなアーティストの演奏をよく聴いて、同じように吹こうとしながら『あぁ、こういう時にビブラートするんだ』と実践で覚えていったと思います。


そうして、今、私が思うオススメは、

『吹いている間はずっとビブラートをかける』です。

長い音価、短い音価、関わらず、ずっとビブラートし続けるつもりで吹くのです。


どこでかけて・どこでかけないかを考えるよりもシンプルですし、

ビブラートをし続けようという想いが、息の流れにも、響きにも、音楽の流れにも有効に働くと感じるからです。





ビブラートを演奏に取り入れて吹けるようになるとまた楽しみが広がりますね^^

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泉山 民衣

​Tae Izumiya

兵庫県在住、B型末っ子自由人。

サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。昭和音楽大学卒業。

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニーク(自分の使い方。心身のメソッド)を学び、教師資格を取得。

身体について多く誤解していたことを知り、自身の意図で動きが変わり、痛みや不調、日常から演奏まで幅広いパフォーマンスが想像以上に改善することを身をもって体感しています。
​最近はクラリネットとトランペットに挑戦中。

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