呼吸のこと(肋骨は動ける編)

(2021.5 改訂) *この記事は「呼吸のこと(横隔膜編)」からの連続記事になります。是非、併せてお読みください。




わたしは学生時代、

「ブレスがなんだかうまくいかない」「たくさん息が吸えない」「息が続かない」

という悩みがありました。

アレクサンダー・テクニークを学ぶ中で、

呼吸のメカニズムを知るとだんだんそんな悩みが消えるようになってきました。





今回は肋骨について。

肋骨は、肺や心臓を守るように覆っている骨ですが、呼吸時の「肋骨の動き」について考えたことはあるでしようか。



前回書いた横隔膜はこの肋骨の下部に付着しているのですが、

肋骨は左右で12本ずつあり(人によって異なる場合があるそうですが)、

それらは、背骨 いわゆる脊椎に繋がっていて、そこが関節になっています。


関節があるのですから「肋骨は動ける」のです



(⭕の部分が肋骨と脊椎の関節)



肋骨の動きを知ろう

それでは一度、肋骨のいろいろな部分に手を軽く当てて触れながら、呼吸時の肋骨の動きを体感してみましょう。



画像で示した部分に軽く手を置いて、ゆったりと呼吸をしてみましょう。


①肋骨の前側

②肋骨の横下部

③肋骨の横上部(脇の下)

吸う時には上や外側へ、

吐く時には元へ戻るように、

肋骨が動いているのがわかるでしょうか。


1つ目の画像で示した、肋骨と脊椎の関節部分がスウィングするように動きます。


肋骨の上部・肩のあたりは、息を吸った時に肺のふくらみとともに上向きに動くのが通常起き得るもので、これはいわゆる「胸式呼吸」と呼ばれるものになります。

昔から、歌でも管楽器でも「腹式呼吸が大事」とよく耳にしますが、

だからと言って「腹式呼吸をしなければいけないから胸式呼吸はダメ」「肩を動かさないように吸わないといけない」ものでは決してありません。


吸った空気が肺に入り、膨らむはためには肋骨の動きはあって当然なのです。



「腹式呼吸」でなければいけないのか?

試しに「腹式呼吸」の字の通り「お腹を動かして(膨らませようとして)呼吸する」をやって、肋骨の動き・息の吸いやすさ・吸える量を観察してみましょう。


「お腹を動かして(膨らませようとして)呼吸する」と、肋骨の動きはどうでしょうか?息は吸いやすいですか?どれぐらい息は吸えますか?


では次に、始めに確認した通り「呼吸と共に肋骨は動く」と思って吸ったり吐いたりしてみましょう。


肋骨の動きはどうでしょうか?息は吸いやすいですか?どれぐらい息は吸えますか?


・・・


「お腹を動かして(膨らませようとして)呼吸する」だと、肋骨の動きが乏しくなり、そのおかげで肺は膨らめるスペースを得られずに息が吸いずらいと感じる方が多くいらっしゃると思います。

逆に「肋骨が動ける」と思う方が息は吸いやすく、より多くの息を肺に取り込むことができるのではないでしょうか。




学生時代の私は、「腹式呼吸でなければならないから」と『胸式呼吸をしないように』して、あって当然の肋骨の動きを制限していました。

そのため、うまく息が吸えなかったのだと今は理解しています。


胸式呼吸と腹式呼吸のハイブリッド

アレクサンダー・テクニークは身体のデザインに沿って動くことを常に念頭においているメソッドです。

身体のデザインに沿って呼吸すると考えると、胸式・腹式の胴体全部でのハイブリッド呼吸がより良い選択になると思っています。



息が肺に入り膨らむことができるようになるために、

・首を楽にして、息を吸うときも吐くときも頭が空間の中で自由に動けることを思いながら(アレクサンダー・テクニークの最も重要なポイント)

・肋骨の上から下までの1本1本が上へ外へ動くことを許すとともに(胸部の動き)、

・肋骨下部に付着した横隔膜はお腹にある内臓を押し下げてお腹が下へ外へ動くことを許す(腹部の動き)。

最終的に呼吸は胴体全部が動いて良いのです。



サクソフォン奏者

アレクサンダー・テクニーク教師

泉山民衣



関連記事:

アレクサンダー・テクニークの原理

響きをもたらす3つのポイント」(呼吸時の「頭と脊椎」の関連について少し載せています)

「呼吸のこと(横隔膜編)

「呼吸のこと(骨盤底筋群)

「呼吸のこと(腹筋編)」

「呼吸のこと(息の方向編)」

「呼吸のこと(腕編)」

「呼吸のこと(脊椎編)」

呼吸が浅いと感じていたときに役立ったこと

鼻の空気の通り道

立つということ



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