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サックスを構える時の腕の動き(肩こり解消!?)


肩こりがあるという生徒さん。

アルトサックスを構える時の腕の動きに着目すると、肩を後退させているのが分かりました。


実を言えば私もそうでした。

なので私もずーっと肩凝りがあったわけですが、

「これはサックスをやってるから仕方ない」

と思ってました。

職業病であって、生涯付き合っていくものと。。。。

ですがアレクサンダー・テクニークを学んで、それは誤解だと知りました。


肩こり筋=僧帽筋
僧帽筋の働き

肩(肩甲骨)を後退させるというのは、それこそ通称・肩こり筋と呼ばれる僧帽筋のお仕事です。

そもそも僧帽筋は、後頭部〜肺を囲っている肋骨の下部までの脊椎と肩甲骨に付着している筋肉で、肩甲骨を動かす筋肉のなかでもっとも大きな筋肉です。


今回のように肩甲骨を後退させることもあれば、肩甲骨を挙上させるとき、逆に下制するとき、そして腕を横から上に上げるときにも働きます。


この生徒さんの場合、

腕を肩から後ろに引きながら楽器を持ち上げていたのです。


詳しく見ていくと、肘をただ曲げるだけでも発動していました。

では、必要な動きは何でしょうか。


肘を曲げる動きを整理

肘を曲げるのは上腕二頭筋(上腕の前側にある筋肉)のお仕事です。


《上腕二頭筋エクササイズ》

左手のひらを上に向け、右手で左手もしくは左手首あたりを下に向かって押し下げてみましょう。

その時に左手の方は右手に反発して肘を曲げようとしてみると、上腕二頭筋が刺激されます。

反対側も同様にやってみましょう。


肩関節での動きを整理

次に肩関節(解剖学的には肩甲上腕関節)の動きを確認しましょう。


肩関節はさまざまな方向への動きが可能ですが、ここでは以下の動きをしてみましょう。

この時、鎖骨肩甲骨も一緒に動くように意識すると、より可動性は高まります。


・肘を90度に曲げて、前へ後ろへ(屈曲・伸展)

 ちょうど、走る時の腕振りのような動きです。

 

・肘を90度に曲げて、外へ内へ(外旋・内旋)

 わかる人にはわかる、、「ババンバ バン バン バン」の動きです。


肘を曲げる動きと肩関節の動きの組み合わせ

それでは、楽器に手を伸ばす時に、指先から肘までをただ前へ動かして曲げ、必要なだけ肩関節の動きも許可しながら構えてみましょう。


実際、丁寧にこれをやるように生徒さんに促してから演奏していただくと、音の響きが変わり、

「頑張って音をしぼり出すということがなくなり、楽だった」という感想がすぐさま出ました( ^∀^)

肩の痛みも軽減するし、音の響きまでよくなるのです。


音の響きが良くなる要因は、いくつかあると思いますが、

僧帽筋が肺を囲っている肋骨に繋がる胸椎にも付着しており、

鎖骨・肩甲骨自体も肋骨にかぶさるように位置しているため、

腕の動きが呼吸に影響するからだと考えられます。



動きの再教育

これは、なんとなくやっていた動きを再教育するので、

いつもの動きをすることに「NO!」を言って抑制し、

丁寧に順番に動きの指示を出す必要があるので、始めは面倒に思うかもしれません。


今までのやっていたように腕を動かすと、時間が経つにつれて痛くなったり疲れたりするので、「あぁ。やっぱりそうなるよね…」と思いますよ(実体験)。

身体は正直で、痛みや違和感のSOSを出してくれるので、その時にはまた動きを選びなおすチャンスです。


丁寧にやることで、その先に動きやすく、痛みのない身体が手に入る可能性が高まりますね。

 

肩をすくめたり、肩甲骨をずっと後ろに引きっぱなしにするような動き(どちらも僧帽筋が働いてます)は、パソコンなどの事務作業中や料理の際にも起こり得ますね。

肩こりを生み出していたのは何も楽器のせいだけではなく、日常にも潜んでいます。

じゃあ一切、僧帽筋を使わないようにすれば良いのか!という訳では決してなく、

その状態で無意識下でキープして動かなくさせてしまうことが僧帽筋をずっと使いっぱなしの状態に繋がるので、「気づいたらやめる」と動きの再選択をするだけでも変わります。




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泉山 民衣

​Tae Izumiya

兵庫県在住、B型末っ子自由人。

サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。昭和音楽大学卒業。

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニーク(自分の使い方。心身のメソッド)を学び、教師資格を取得。

身体について多く誤解していたことを知り、自身の意図で動きが変わり、痛みや不調、日常から演奏まで幅広いパフォーマンスが想像以上に改善することを身をもって体感しています。
​最近はクラリネットとトランペットに挑戦中。

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