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自分とサックスを繋げる【ストラップ】


皆さん、「ストラップの長さ」に関して、考えたことはありますか?


自分と楽器が出会うために大事な大事なストラップについて。


 

ストラップってなんのためにあるのか

今現在はストラップの形はいろいろなものがあります。


・首にかけるタイプ(楽器購入時にはこのタイプが付属でついてますね)

・肩にかけるタイプ

・上半身で支えるハーネスタイプ


サクソフォンて、アルトだったら2.5キロ、テナーだったら3.6キロなのだとか。


そんな重さの楽器をストラップなしで腕力で持ち上げて演奏することはかなりキツイ。


ストラップは、自分と楽器を繋げ、身体で楽器の重みを支えるために存在しています。




そのストラップ。

体に触れているところで楽器を支えているような気持ちになるのですが、

まずはそうでもないよというお話から。



楽器を支えているのはどこ?

ストラップの中でも首にかけるタイプは特に首への負担が高くなりがちですが、


そもそも首というのは、骨で考えると頚椎の部分。


その頚椎は、頭蓋骨のすぐ下から始まってお尻の割れ目にかかるところまで繋がる脊椎の一部です。(←ここ重要)


この脊椎の上には、成人で約5キロある頭が繋がっています。

5キロといえば、アルトサクソフォンが2本分ですよ。


それが自分の一番てっぺんにある。


それでも人間が自由に動けるのは、

頭の下には脊椎全体と、

胸椎に繋がっている肋骨

その胴体の骨格の中には内臓もあるし、

骨盤

そして骨盤から繋がる脚、足が存在し、

それらすべてが協力し合いながらバランスをとってくれるから。


もともと5キロある頭の重みを、

身体全体が支えているのですから、

数キロある楽器は、ストラップが触れている首・頚椎部分だけで楽器の重みを担うのではなく、

身体全体で!というのは有効だと思いませんか?


 

ではでは、次にこの画像をご紹介します。


(「保健指導リソースガイド」より)

これはスマホを見る首の曲がる角度についての画像なのですが、


首を曲げる角度が大きくなることによって、

頚椎部分にかかる負荷がどんどん増えるそうです!・・・


首の角度がニュートラルな状態(画像の一番左)よりも、

前に傾いて頭を支えるための負荷が首にかかっている状態の時に、

楽器の重さが更に頚椎部分に加わると・・・・


そりゃぁ肩こるわけですよね。


ストラップの長さを考える

楽器をストラップにかけちゃえばそれで良い!

訳では当然ありません。

生徒さんでよく見かけるのは、

ストラップの長さを特に気にせず、長い状態で使っている人

ストラップを長めにセッティングすると、

楽器の音を出すために自分と楽器が出会うマウスピースと口との距離が遠くなります。


それで演奏しようと思うと、


①マウスピースに近づくために口を前へ下へ押し出す


もしくは


②腕(特に右手)で持ち上げてマウスピースを口元へ


ということをすると思います。

 

①マウスピースに近づくために口を前へ下へ押し出す

そうするために、身体は何をするのでしょうか。


下にあるマウスピースに近づくために、顔(頭)を下げる必要があります。

顔を前に出して首を縮めたり、胸のあたりをぐしゃっと縮めたり


楽器を首で支えると思っている人だったら、首にかかる負担もかなりupしますね。


このように、首からお尻まで続いている脊椎に余計なお仕事をさせてしまっている状態になると、「首が痛い」「肩が凝る」「呼吸がしにくい」「腰が痛い」に繋がってしまうのは明らかです。



胸のあたりが縮こまると、肋骨の動きが制限されて、その中にある肺も膨らむに膨らめません。



首や胸、脊椎のカーブのバランスが崩れることにより、

音を出す上で大事な息のコントロールも困難になります。


②腕(特に右手親指)で持ち上げてマウスピースを口元へ

腕(特に右手親指)で持ち上げるということは、

右親指・手首・肘から手首までの前腕、さらには肩までもに負担がかかる可能性は高くなります


と言っても、腕全体を協調させて上手く使うことで楽器を支えることもできると思います。

ただ、楽器のサムフックのところで親指で持ち上げるようにしていると、

音を変えるために指を動かしたいのに指が動きづらくなり、

指を動かすしんどさが倍増です。

細かい音の連続は特に難しくなるでしょう。

そうして指や腕が力むことによって音に窮屈さを与えてしまいます。


ストラップの長さを調節し、楽器の重みは地面へ!

身体が不必要な動きをせずに済む、ストラップの適切な長さ。


私的には


「頭からお尻までの頭と脊椎の長さが自然な長さ*の状態で、マウスピースを自分の口元にきてくわえられる長さ」


要は、普通に立っている時の胴体の長さのままで、マウスピースを自分の口元にきてくわえられるかどうかです。


*自然な長さ

変に縮こまることも、過度に伸びようとする(「姿勢を正して」で得ているのはコレ)必要もない状態。


ストラップを適切な長さに調節して、

マウスピースと口が出会うために自分の頭からお尻までの長さを大きく変えることなく、

腕で持ち上げることもなく、

ストラップを介して楽器と自分全体が繋がり、

その楽器の重さは身体全体を通って地面へと流れる。


そうして吹いてみるとどうでしょう?



私の場合、レッスンで見ていただいた時、


いつものやり方(私は口からマウスピースに近づこうと、押し出してました)が顔を出しそうになるのに「NO!」を心の中で唱え、


頭からお尻までの長さを保持しながらマウスピースと口が出会えたものの、


「え!?これで吹ける!?!?」


と、感覚が違いすぎて戸惑いました。


違和感を抱きながらも吹いてみたところ、楽に自由に音が鳴ることを体感しました!


肩や首、腰の負担も、いつもより断然少ないのに豊かに鳴る。


「えーーーーー???いつもやってたのは何やったん??( ˙_˙ )」



びっくりで、

信じられない思いをしました(´・∀・)



ストラップの長さは検討の価値が十二分にあります。





↓書いているのはこの人↓

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泉山 民衣

​Tae Izumiya

兵庫県在住、B型末っ子自由人。

サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。昭和音楽大学卒業。

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニーク(自分の使い方。心身のメソッド)を学び、教師資格を取得。

身体について多く誤解していたことを知り、自身の意図で動きが変わり、痛みや不調、日常から演奏まで幅広いパフォーマンスが想像以上に改善することを身をもって体感しています。
​最近はクラリネットとトランペットに挑戦中。

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