
泉山民衣
Tae Izumiyama
〔音楽が楽しかったこどもの頃〕
わたしはピアノを幼少期から、サクソフォンを中学校吹奏楽部から始め、音楽はずっと生活の一部になっていました。
高校2年の冬に音大進学を見据えた勉強を始め、音楽理論や歌、聴音のレッスンなどで知らなかった音楽の基礎知識が演奏表現の骨格になることを身に染みるようになっていきました。
〔辛くなった音大受験〜卒業まで〕
ですが、受験から音楽大学に進学して以降、好不調の浮き沈みが激しく、スランプで思うような演奏ができなくなっていき、楽しいと思えていた演奏が全く楽しめなくなりました。
半年ごとの実技試験も極度の緊張を感じるようになり、やってもやっても思うような演奏ができないため虚無感に苛まれるようになりました。
〔卒業後、心身の不調と痛みの発症〕
それでも音楽はやめられず、高校の音楽非常勤講師の仕事や、レッスン、コーラスのピアノ伴奏などを始め、大学の同期たちと毎年コンサートを企画・主催し、編曲も手がけるようにもなりました。
楽しくなってきていたのですが、あるとき知人からの些細な言葉に気を病み、仕事中に倒れてしまいました。
今では「そんなことで・・」と思えるほど些細なことでしたが、心身は倒れるほどに疲弊していました。
その後、仕事のために練習を重ねていた頃に腱鞘炎と顎関節症を発症し、楽器に触れられないどころか日常生活にも大きく影響が出始めました。
〔アレクサンダー・テクニークに出会う〕
「こんな痛みは今までなかったのに、自分が演奏するときの動かし方に問題があるのでは?」と思い調べたところ、アレクサンダー・テクニークという動きに焦点を当てたメソッドがあることを知りました。
これまでの心身の不調や緊張の原因がわかるかもしれない、痛みがでない演奏法を学べるかもしれない、生徒さんにもっとわかりやすいレッスンができるようになるかもしれない、そんな期待を持って2016年に学ぶことを決めました。
〔アレクサンダー・テクニークを始めてからの変化〕
先生のサポートを得て、演奏時の姿勢を見ていただいたとき、いつもと違い過ぎて「こんなので吹けるわけがない!力が出せない!」と感じながら、先生からの「大丈夫。やってみて。」の言葉を信じて吹いてみると、びっくりするほどすんなり音が鳴り、響きも豊かで、頭の中で思い描いていたイメージに近い演奏ができたのでした。
自分が演奏するために必要だと思っていた力は不必要な力みだったのだと初めて認識した瞬間でした。
それから、人前で演奏する時に、足がガタガタ震え、心臓もドキドキ、落ち着かないまま演奏して案の定うまく演奏できないことをレッスンテーマにいろんな先生からレッスンを受けて、自分の根底にある当たり前のようなあった「うまく吹けなきゃいけない」「完璧にしなければ」や、自分に対する否定的な言葉の存在が足かせとなって思いのままの演奏ができない緊張を引き起こしていたことがわかりました。
それらを手放して演奏できたとき、あまりの開放感で自然と涙が溢れてきました。
学んで数年、おかげで人生で一番と言えるほどとても豊かで楽しい本番の時間を過ごすことができました。名残惜しく、もっとこの時間を堪能したいと思えるほど至福の時間でした。
自分の使い方・動かし方によって音色がみるみる変化し、動きやすくなり、練習も楽しくなっていき、できることがどんどん増えていくことを実感しています。
そして2021年に晴れて教師資格を取得。
演奏をより良くしたい、思い描く表現がしたい、本番で思い通りに演奏したい、そんな思いを持ちながら悩みを抱える人のお役に立ちたいと思っています。
昭和音楽大学弦管打楽器指導者コース サクソフォン 専攻卒業。
これまでに、ピアノを梅谷浩子、半澤尚美、サクソフォンを前田幸弘、武藤賢一郎、室内楽を新井靖志、武藤賢一郎、指揮を田中一嘉の各氏に師事。
サクソフォンのほか、音大受験生向けの楽典(音楽理論)、音感指導、聴音指導をし、受け持った生徒は京都市立芸大、大阪音大、大阪芸大、相愛大学に進学。
第17回KOBE国際音楽コンクール奨励賞受賞。
2017年 身体の構造・動きのしくみを教えるBodyThinkingコーチ資格取得
2019年 変化を起こすための思考プロセスを教えるThinkingBodyコーチ資格取得
全国初となる『木管楽器奏者のためのアレクサンダー・テクニーク合宿』を共催
2021年春 アレクサンダー・テクニーク教師資格取得
サクソフォン奏者・前田幸弘氏の呼びかけにより、アルシス・サクソフォン・カルテットとしてノート・グルーピングのメソッドに基づいたアンサンブル演奏を探究中。
2020年関西指導者研究会主催「ノート・グルーピング研修会」に同メンバーとして参加・演奏。